お役立ちコラム

Column

事故物件の専門家が、役立つ情報や実体験を綴ります。

事故物件の売却相場はどれくらい下がる?死因別の下落率と査定アップのポイント

2026.05.21

「事故物件の売却相場はどのくらいなのか」「通常の物件と比べてどれくらい下がるのか」。事故物件を売却しようと考えたとき、最初に気になるのが価格の問題ではないでしょうか。

事故物件の売却価格の相場は、死因や立地条件、物件タイプによって下落率は大きく変動します。一律に「何割引」と決まるものではないため、相場の目安を知らないまま査定に臨むと、提示された金額が妥当かどうか判断できず、結果的に数百万円単位で損をしてしまう可能性もあります。だからこそ、売却を考え始めた段階で相場の全体像を把握しておくことが大切です。

この記事では、事故物件の売却相場を左右する要因と死因別の下落率の目安、そして査定額を少しでも引き上げるための具体的な行動について解説します。

事故物件の売却相場はどう決まるのか

事故物件の売却相場は、さまざまな要因が複合的に影響して算定されますが、主な要因は大きく分けて3つあります。

  • 居住者の死因
    人が亡くなられた物件と一口に言っても、自然死と自殺・他殺では、買主が感じる心理的瑕疵(居住に際して心理的な抵抗感や嫌悪感が生じる恐れのある事柄)は大きく異なります。この差は買い手のつきやすさや価格の下落幅にも反映されやすいです。
  • 物件の立地
    都心の駅近物件と郊外の物件では、そもそもの需要の高さが違います。都心部や駅近物件など、需要が高いエリアであれば事故物件でも買い手が見つかりやすく、価格の下落幅も小さく収まりやすいです。
  • 物件タイプ
    マンションは住人の入れ替わりが多いため、心理的瑕疵の影響が時間とともに薄れやすいとされています。一方、戸建ては近隣の記憶にも残りやすく、同じ死因でもマンションより下落幅が大きくなる傾向があります。

基本的に、事故物件であっても売却価格は通常の物件と同じように「立地」や「築年数」などの条件をベースに算出されます。そのうえで事故物件特有の要素が加味されることで、通常の相場からどの程度下がるかが決まります。

次の章からは、死因・立地・物件タイプごとの具体的な下落率の目安を見ていきましょう。

事故物件の定義や告知義務の基本については「事故物件とは?定義・告知義務・再生の流れ」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

死因別の価格下落率

死因は、事故物件の売却相場を左右する最大の要因と言ってもよいでしょう。

自殺や他殺など、買主が強く心理的な抵抗を感じる死因ほど、価格は大きく下がります。実際、国土交通省が2021年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」でも、死因ごとに買主への告知義務の扱いが区分されており、告知が必要な死因ほど買主の抵抗感が強く、それが市場での価格差にもつながるという構造になっています。

ここでは、不動産業界で一般的に示される目安をもとに、死因ごとの価格下落率について解説します。

1.自然死・孤独死

病死や老衰などの自然死が発生した物件は、発見が早く特殊清掃を要しなかった場合は、価格への影響は少なく、下落があったとしても数%にとどまるケースが多いです。国交省ガイドラインにおいても、早期発見の自然死・孤独死は原則として買主への告知は不要とされています。

ただし注意が必要なのは、発見が遅れて特殊清掃が行われた場合です。この場合は買主への告知義務が生じる可能性も高くなり、相場も10〜20%程度下落する傾向にあります。

2.自殺

自殺が発生した物件は、告知義務の対象となり、買主の心理的瑕疵も大きくなります。自然死や孤独死と比べて購入をためらう買主が多く、市場での下落率は20〜30%程度が一般的な目安です。

自然死であれば気にしないという買主でも、自殺となると検討対象から外すケースは少なくありません。そのため、買い手が限られやすく、売却期間が長引く傾向もあります。

3.他殺・死亡を伴う火災

殺人事件が発生した物件は、事故物件のなかでも最も心理的瑕疵が重いとされ、下落率は30〜50%に及ぶこともあります。報道によって広く知られた事件の場合、さらに影響が大きくなる場合もあります。また火災の場合は、心理的要因に加えて建物自体の損傷も価格に反映されるため、他殺と同等かそれ以上の下落になることもあります。

立地・物件タイプで変わる相場の傾向

同じ死因でも、物件が都心にあるのか郊外にあるのか、マンションなのか戸建てなのかによって、下落幅には大きな差が出ます。ここでは、都心と郊外、マンションと戸建ての組み合わせごとに、相場の傾向を見ていきましょう。

1.都心部のマンション

駅徒歩圏内で交通利便性の高いマンションは、投資目的の購入者や、価格重視の実需層が一定数存在するため、事故物件であっても比較的買い手が見つかりやすいです。早期発見であれば、自然死や孤独死が発生した物件でも、通常の物件と同等の価格で売却できるケースもあります。

自殺であれば10〜20%程度、他殺や火災などの事故死であれば20%〜40%の下落が見込まれますが、再開発エリアや地価上昇局面では、事故物件の価格回復も早い傾向にあります。

2.都心部の戸建て

都心部は住宅用地の供給が限られているため土地自体の資産価値が高く、戸建ての物件もマンション同様、下落幅は抑えられる傾向にあります。

ただし、戸建ての買い手の多くは「家族で長く住む」ことを前提とした層です。マンションのように投資目的の購入者が入りにくいぶん、心理的瑕疵の影響が価格に表れやすく、下落幅がやや大きくなる傾向があります。

3.郊外のマンション

郊外のマンションは、マンション特有の「住人の入れ替わりが多く、心理的な影響が薄れやすい」という利点はあるものの、立地の需要が都心部ほど強くないため、その恩恵は限定的です。郊外では投資目的の購入者も少なく、買い手の多くは実需層に限られるため、心理的瑕疵に対する抵抗感が価格に反映されやすくなります。

駅前や商業施設が近い立地であれば、郊外であっても一定の需要が見込めるため、都心部ほどではありませんが、マンションの利点が活きやすいケースもあります。

4.郊外の戸建て

郊外の戸建て住宅は、通常の物件でも売却に時間がかかることも多く、事故物件の場合はさらに買い手が限定されます。郊外の住宅街は近隣との距離が近く、事故の情報が周辺に伝わりやすい環境にあるため、心理的瑕疵への抵抗感は都心部よりも強い傾向があります。結果として、下落率は都心マンションと比べて10〜20%程度大きくなることも珍しくありません。

最寄り駅から遠く、周辺に同等の物件が多いエリアでは、価格調整が必要になりやすいです。

大阪の事故物件売却事情でもエリア別の傾向を解説していますので、参考にしてみてください。

死因×立地×物件タイプ別の下落率一覧

ここまで解説してきた死因・立地・物件タイプの3つの要因は、それぞれ単独ではなく複合的に価格に影響します。以下の表に、条件の組み合わせごとの下落率の目安をまとめました。ご自身の物件に近いパターンを参考にしてみてください。

自然死・孤独死
(早期発見)
孤独死
(発見が遅れた場合)
自殺他殺・
火災による死亡
都心マンションほぼ影響なし5〜10%程度10〜20%程度20〜40%程度
都心戸建てほぼ影響なし〜数%10〜15%程度15〜25%程度25〜45%程度
郊外マンションほぼ影響なし〜5%程度10〜20%程度20〜30%程度30〜45%程度
郊外戸建て5〜10%程度15〜25%程度25〜40%程度40〜50%以上

※上記はあくまで目安であり、実際の売却価格は物件の個別条件によって異なります。火災による死亡は、心理的瑕疵に加えて建物の損傷状況によっても価格への影響が変わります。最新の法令やガイドラインも必ずご確認ください。

売却前に相場を調べる3つの方法

実際に売却を進めるには、まず「自分の物件の通常相場がいくらなのか」を把握しておくことが重要です。事故物件としての下落幅を見積もるには、ベースとなる価格を知らなければ始まりません。

1.不動産ポータルサイトで類似物件を検索する

一番手軽な方法が、不動産ポータルサイトで自分の物件と似たものを調べてみることです。同じエリア・同じ築年数・同じ間取りの物件価格を調べましょう。事故物件そのものの掲載は少ないものの、通常物件の相場を把握することで「ここからどの程度下がるか」を判断する指標になります。

「告知事項あり」と記載された物件が見つかれば、実際の事故物件がどの程度の価格で売り出されているかの参考にもなります。

2.国土交通省の取引価格情報を活用する

国土交通省が公開している「不動産取引価格情報検索」では、過去に実際に成約した物件の価格を地域・物件タイプ別に調べることができます。ポータルサイトで「今いくらで売り出されているか」の相場観の参考になりますが、不動産取引価格情報検索は「実際にいくらで売れたか」の相場感をつかむのに役立ちます。両方を見比べることで、売り出し価格と成約価格の差も含めた、より精度の高い相場感がつかめます。

3.近隣の地価動向を確認する

事故物件の価格は地域の不動産需要にも左右されます。国土交通省の「地価公示」や都道府県の「地価調査」で、物件周辺の地価がここ数年で上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのかを確認しておくと、売却のタイミングを判断する材料になります。

こうした情報で通常の相場感をつかんだうえで、事故物件としての査定を複数の不動産会社に依頼するのが、適正価格で売却するための基本的な流れです。

相場を調べた結果「なかなか売れそうにない」と感じた場合は、「事故物件が売れないときの対処法」もあわせてお読みください。

査定額を引き上げるための3つのポイント

事故物件の査定額は、物件の条件だけでなく、売却前の準備や依頼先の選び方によっても変わります。ここでは、査定額を少しでも引き上げるためにできる3つの行動を紹介します。

1.特殊清掃・原状回復を先に行う

特殊清掃や原状回復工事が必要な場合は、査定前に実施しましょう。清掃が済んでいない状態で査定を受けると、業者側がリスクを多めに見積もるため、金額が低くなりがちです。臭気や汚損が残ったままでは内覧もできないため、清掃済みの状態で査定に臨む方が、適正な評価を受けやすくなります。特殊清掃は対応が早いほど費用を抑えやすくなります。

私たちふっかつ不動産では、特殊清掃から原状回復、売却までをワンストップで対応しています。詳しくはふっかつ不動産「サービス一覧」ページをご参照ください。

2.事故物件の取扱実績がある会社を選ぶ

事故物件の査定額は、依頼する会社の経験や得意分野によって大きく変わります。告知義務への適切な対応や、買主の心理的な不安を払拭する販売戦略など、事故物件の売却には一般的な不動産取引にはない専門知識が必要です。まずは事故物件の取扱実績がある会社を選ぶことが重要です。

そのうえで、最低でも3社、できれば5社程度に査定を依頼して比較することをおすすめします。1社だけでは金額の妥当性が判断しづらく、複数社の査定を比較することで適正価格を見極めやすくなります。実績のある会社はウェブサイトで解決事例を公開しているケースが多いので、依頼前に確認しておくとよいでしょう。

3.時間に余裕があれば仲介を検討する

急いで売却する必要がなければ、買取ではなく仲介を選ぶことで、より高い金額での売却が期待できます。買取は業者が直接購入するため早期に現金化できる反面、リフォームや再販のコストが差し引かれるため、仲介で売れた場合と比べると手取り額は下がる傾向にあります。

仲介の場合は買い手が見つかるまでに3ヶ月から1年程度の期間を見込む必要がありますが、市場で一般の買主を探す分、相場に近い金額で取引できる可能性が高まります。時間的な猶予と手取り額のバランスを見て判断しましょう。

仲介と買取のどちらを選ぶべきか、また「もう少し待ってから売る」は得なのかについては、「事故物件が売れないときの打開策|原因別に対処法を解説」に詳しくまとめています。

事故物件の査定額は、物件の条件だけで決まるものではありません。清掃の有無、依頼先の選び方、売却方法やタイミングといった「売り手側の行動」によって、結果は大きく変わります。相場を正しく理解したうえで、できることを一つひとつ実行していくことが、納得のいく売却につながる近道です。

よくある質問

事故物件の相場は時間が経てば回復しますか?

一般的に、事故発生から時間が経つほど心理的瑕疵の影響は薄れていきます。特に賃貸物件では、国交省ガイドラインで「概ね3年」が一つの基準とされています。売買の場合は明確な期間の定めはありませんが、数年単位で価格が回復に向かうケースは実際に見られます。ただし、報道で広く知られた事件などは例外となる場合もあるため、個別の判断が必要です。

相場より高く売ることは可能ですか?

不可能ではありません。特殊清掃とリフォームを適切に行い、物件の状態を良好に保ったうえで、需要の高い時期に仲介で売り出すことで、事故物件の「一般的な相場」よりも高く売却できたケースはあります。ただし、告知義務は必ず果たす必要があるため、事故の事実を隠して高く売ることは絶対に避けてください。

査定は無料ですか?何社に依頼すべきですか?

ほとんどの不動産会社では、査定は無料で対応しています。前述の通り、事故物件の取扱実績のある会社を中心に最低3社、できれば5社程度に査定を依頼して比較するのがよいでしょう。

査定額と実際の売却価格は同じですか?

査定額はあくまで「この価格で売れる見込み」を示すもので、実際の売却価格と一致するとは限りません。 仲介の場合は、買主との交渉を経て査定額より下がるケースもあれば、競合する買主が現れて上がるケースもあります。買取の場合は査定額に近い価格が売却価格になることが多いです。

事故物件であることを隠して売却するとどうなりますか?

告知義務に違反して事故物件であることを隠した場合、売却後に買主から契約不適合責任を問われる可能性があります。具体的には、契約解除や売買代金の返還、損害賠償請求を求められるなど、結果的に大きな損失につながりかねません。国交省ガイドラインでも告知の対象となる事案が整理されていますので、正直に開示したうえで適正価格での売却を目指すのが最善です。

事故物件は買取と仲介、どちらで売るべきですか?

それぞれにメリットがあります。買取は不動産会社が直接購入するため、早ければ数日〜数週間で現金化でき、確実性が高いのが特長です。一方、仲介は市場で買主を探すため時間はかかりますが、買取より高い価格で売却できる可能性があります。「すぐに売りたい」「周囲に知られたくない」という場合は買取、「多少時間がかかっても高く売りたい」という場合は仲介を検討するとよいでしょう。

まとめ

この記事では、事故物件の売却相場を左右する要因と死因別の下落率の目安、相場の調べ方、そして査定額を引き上げるための具体的な行動について解説しました。

  • 下落率は死因によって異なる
    自然死・孤独死(早期発見)なら価格への影響は軽微だが、自殺で20〜30%、他殺では30〜50%の下落もありうる。国交省ガイドラインの告知義務の区分が、市場価格にも直接影響する
  • 立地と物件タイプも価格に大きく影響する
    都心マンションは需要が厚く価格の回復も早い一方、郊外戸建ては下落幅が大きくなりやすい。同じ死因でも条件次第で下落率に10〜20%の差が出ることもある
  • 相場を知ってから動くことが、損をしないための第一歩
    ポータルサイトでの類似物件検索、国交省の取引価格情報、地価公示の3つを活用し、まずは通常相場を把握したうえで事故物件としての査定に臨む
  • 査定額を下げないための適切な行動と判断が重要
    特殊清掃の早期実施、取扱実績のある会社への複数社査定の依頼、仲介と買取の使い分けなど、適切な準備と判断によって査定額は大きく変わる

事故物件の売却は、正しい情報と適切な相談先があれば、納得のいく結果につながります。一人で抱え込まず、信頼できる不動産業者に相談しながら、適切な価格での売却を目指しましょう。

お問合せ・ご相談はこちら

神戸・大阪エリアで事故物件の売却にお困りでしたら、私たちふっかつ不動産にお気軽にご相談ください。特殊清掃からリフォーム、売却まで一貫してサポートいたします。これまでの解決事例もぜひご参考にしてください。お見積りは無料ですので、まずはお問い合わせください。

今すぐ問い合わせる LINEで相談する

参考資料

078-515-8788

受付時間:9:00〜18:00(水曜定休)

LINEで相談 お問い合わせ