
解決事例 / Case Study
相続放棄された空き家を、神戸市への寄付につなぐまで
神戸市中央区・清算人と進めた空き家のふっかつ物語
神戸市中央区の住宅地に、長年空き家のままになっている戸建てがありました。所有者が亡くなった後、相続人全員が相続放棄を選択。引き継ぐ人がいない状態となった建物は、手をつけられないまま残され、管理する人のいない時間が続いていました。やがて家庭裁判所により弁護士が相続財産清算人に選任され、残された財産の整理が始まりました。
相続財産清算人の役割は、財産の管理と処分を進め、清算を終えることです。しかし、清算人の先生にとって不動産の実務は専門外。老朽化した建物と土地をどう扱うか頭を悩ませる中で、私たち『ふっかつ不動産』にお声がけいただきました。
清算人の先生が直面していた3つの課題
1. 空き家問題に強い、頼れる相談相手がいない
中央区という立地でありながら、昭和30年ごろに建てられた物件で、敷地は狭く、前面道路との接道にも制約のある土地でした。 複数の不動産会社に相談しても断られるばかり。とはいえ、清算人として「売れない」と結論づけるには、裁判所にも説明できる確かな根拠が必要です。市場価値を責任を持って見極められる「空き家問題に詳しい相談相手」が見つからないことが、最初の壁でした。
2. 解体費用の確保の見通しが立たない
老朽化した建物は、土地をどう引き継ぐにしても解体が避けられない状態でした。解体業者から見積もりは取ったものの、清算手続きのために用意されていた予納金だけでは工事費をまかないきれない金額でした。限られた予算の中で、どのように解体費用を確保し、家庭裁判所にも説明できる形にするか。それが二つ目の大きな壁でした。
3. 売却が難しい土地の行き先がない
仮に解体まで終えても、土地の行き先が決まらなければ清算は終わりません。自治体への寄付という方法はあるものの、管理の負担が増える土地の寄付を、自治体が受け入れないことも少なくありません。受け入れの可能性をどう探り、どう協議を進めるか。先の見えない課題が残っていました。
売却でも買取でもない「第三の道」による、解決までの3つのステップ

STEP1: 現地調査と、市場性の率直な見立て
まず現地調査を行い、敷地の条件や周辺の取引状況を確認しました。結果、接道の制約から再建築は難しく、売却だけでなく、当社による買取でも活用の見込みを立てにくい状況でした。 この見立てを、根拠とともに清算人の先生へ率直にお伝えしました。調査・検討の内容は、後の裁判所への説明にも使っていただけるよう資料としてまとめています。そのうえで、神戸市への寄付という選択肢を提案し、受け入れの可能性を市の担当部署に相談してみることになりました。
STEP2: 補助制度を活用し、解体までワンストップで対応
解体費用については、神戸市の老朽空家等解体補助制度の活用をご提案しました。あわせて、当社では現地調査から建物の解体工事までを一つの窓口で対応できるため、物件の状態や周辺環境を踏まえた工事計画をスムーズに立てることができます。 予納金の範囲と補助制度の活用、それらを踏まえて工事計画に落とし込めたことで、予算内での解体を実現できました。そのうえで、家庭裁判所の許可を経て解体工事を実施しました。
STEP3: 行政との寄付協議と清算業務の完了
更地となった土地について、神戸市の担当部署との協議を重ねました。受け入れの判断に必要な資料の準備や、現地確認への立ち会いなど、清算人の先生だけでは負担の大きい実務面を当社がサポート。協議の結果、土地は寄付というかたちで神戸市に引き継がれることになりました。 解体から引き渡しまでの経緯を都度まとめていたため、裁判所への報告も滞りなく進み、清算業務は無事に完了しました。
新たな始まり

買い手がつかないまま放置されかねなかった土地は、こうして神戸市へと引き継がれ、地域の財産として管理されることになりました。老朽化した建物がなくなったことで、近隣にお住まいの方々の不安も解消されています。
清算人の先生からは、「売却が難しいという見立てを、根拠とともに正直に伝えていただけたことが、かえって信頼につながりました。費用の見通しづくりから解体工事、寄付の協議まで一緒に進めていただき、無事に清算を終えることができました」という言葉をいただきました。
今回のように売却が難しい物件でも、条件が整えば寄付という方法を検討できる場合があります。物件の条件によって最適な方法は変わります。市場価値の見極めから、費用の確認、解体、行政との協議まで。解決までの道筋づくりから実務対応までを一つの窓口で担えることが、清算に携わる先生方の力になると考えています。これからも一件ずつ、最適な解決策を一緒に探していきます。
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